Blog
ブログ2019.06.20
いいシャツの条件
【オーダースーツ TailorFukuoka Blog】
こんにちは
テーラーフクオカ銀座店の豊島です。
仕事柄当たり前なのですが
「サイズのぴったりあったシャツをください」
と言われることが多く
この時期は漠然とシャツのことをよく考えています。
そこで本日は改めてここに
サイズの合うシャツって?というところを
定義してみたいと思います。
(もちろん独断と偏見を多分に含みます)
①首周りのゆとりが適正であること。
ものすごく当たり前のことを書くようですが
それくらいシャツの表情を決める
最も大事な構成要素と言って間違いありません。
一番避けたいのはゆるすぎる首周りです。
これは特にタイドアップをするようなシーンでは
救いようのないサイズの差異です。
ネクタイも持ち上がらずゆるみやすくなり
どんなに美しいエリも台無しになるのが
ネックのオーバーサイズです。
首のサイズにもよりますが
目安としては水通しをしていない状態で
首周りには2.0~2.5cmくらいの
ゆとりが理想的です。
きっと一般的なフィット感より
ややタイトでしょうが
お試しいただくとネクタイもゆるまず
ホールド感が段違いだ、と好評です。
②裄丈(ゆきたけ)がきちんと合っていること。
オーダーメイドのシャツだからこそ
袖はカフのボタンを止めなければ
大体親指の水かきのところくらいまでの
長い袖丈である場合が多いのです。
(そして袖口幅は既製品のそれよりひと回りタイトで
手首にピタッとフィットします)
これは手の曲げ伸ばしの際に
カフが動かないようにするため
袖口付近に“あえて”ゆとりを加え膨らみを持たせます。
一般的にはジャケットやスーツの袖から
少しシャツが覗くことで見栄えはもちろんのこと
スーツの袖が直接肌に触れないことで
皮脂汚れの付着を防ぐ意味もあります。
(昔の背広は今に比べはるかに高価でしたからね…
服への愛を感じます)
我々からの説明が不足すると
「オーダーメイドのくせに
既製より合ってない!けしからん!」
とお叱りを受けることも多い箇所。
エゴと言われてしまえばそれまでです。
もちろんご用命いただければ
このようなゆとりの出ない袖の長さでお仕立ても
可能ですのでお申しつけください。
ただ同時に一度はこの丈の長さも
お試しいただきたいと思っています。
③ブレストとウエストに適正なゆとりが入っていること。
ここでお伝えしておきたいのは
決してスリムにすればいいという
ものではないということ。
適正なゆとりを入れ
身体のラインとシャツのラインを平行にするだけで
見違えるほどシルエットはきれいに見えるものです。
とはいえウエストとヒップは
既製品の同じ首周りのシャツよりは
ずっとスリムです。
デザインにもよりますが中肉の方で
おおよそウエストで8cm~10cm
ヒップで8cm~9cmくらいのゆとりです。
これ以下のタイトフィットはかえって
横ジワなどよってしまい
細いのにもかかわらず
太くみえる原因です。
タイトにみせるために
タイトにしすぎないのが得策です。
・・・
とても長々と書いてきましたが
以上の3つことはお読みの皆さまも
お感じになっていることと思いますが
とても平凡で普通のことです。
ただフィッターとして
仕事に携わって知れば知るほど
この大前提に立ち返ることが
ものすごく大事です。
きっとよく見えて機能的だからこそ
それが基本なのでしょう。
一からお作りするオーダーメイドのシャツだからこそ
このあたりのご相談も当然あるべきですし
これも我々のオーダーシャツという
商品の一部です。
お作りの際は
「前回と一緒で」もいいですが
上記のように考えてサイズを少しだけでも
改められてはいかがでしょう。
そのためのご提案がいろいろあります。
銀座店 豊島
-----------
Tailor Fukuoka
Staff投稿者豊島 [Toyoshima]
服飾系大学を卒業後入社し
現在はTailor Fukuokaにて企画会議や撮影などに参画。
メガネとヒゲ(たまにボウタイ)が特徴で
こだわり強めの一児の父。多趣味である。
新宿店店長