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ブログ2020.04.14
本切羽とは?
【Tailor Fukuoka Ginza Blog】
みなさま、こんにちは。
銀座店の嶌野です。
本日はスーツの袖口の部分。
「切羽」についてお話させていただきます。
スーツの袖口。
ここに「ボタンがついている」のは
みなさまご周知のことと思いますが
デザインバリエーションの豊かな部分なのはご存知ですか?
ボタンの数・ボタン穴の仕様
ボタンの配置や縫い付け方など
何パターンくらいあるのか
考えようとしたのですが数学が苦手なので
諦めてしまいました…(笑)
手元というのは意外と人目につく部分であり
好きな方ほど着目している部分でもあります。
その仕様の中でも特に着目され
よく耳にする仕様が「本切羽(ほんせっぱ)」
袖のボタン穴が実際に機能し、袖口の開閉ができる仕様
を本切羽と呼びます。
本切羽 Option¥2,000
上の写真も本切羽ですね。
(ちなみに、かざりのボタンホールのことは
開き見せ(あきみせ)や飾り切羽といいます)
この本切羽、袖まくりをするわけでもない
飾りパーツなのに、どうしてここまで手間をかけるのか。
本切羽には3つの意味合いがあると、私は思います。
①本格志向
もともとスーツのボタンは飾りですが、
切羽のボタンホールは飾りではなく
きちんと開けて袖まくりに対応するためのものでした。
20世紀以前、スーツの下に着るシャツはあくまでも「下着」
そのため、何時いかなるときもジャケットを脱ぐことはありませんでした。
取引先にランニングシャツで行くようなもの、なのでしょうか…?
そのため、なにかのときにジャケットを脱がずとも袖をまくり、
作業しやすくするために袖口に開閉機能が付きました。
お医者様のスーツに多い仕様だったので
英語では「surgeon’s cuff(外科医の袖口)」と呼ぶとか。
話がそれましたが、
現在は袖をまくる必要性がないので
簡略化して形だけついている、というものも多くなっています。
手間をかけて本切羽にしている、というところに
「ものづくりへのこだわり」が伺えます。
②穴かがりが綺麗
飾りの切羽だとボタンホールの内側に穴が開きません。
本切羽の場合、内側をくり抜く必要がありますので
しっかり縫わないとそこからどんどんほつれていってしまいます。
そうならないために
本切羽のホールは開き見せのものより糸の密度が高く、
穴かがりが綺麗に仕上がっている場合が多いです。
本切羽
開き見せ
③袖丈の調整ができない
一見するとデメリット。
開き見せは仕上がったスーツでも袖丈の調整が効きますが
本切羽はそれができません。
逆に言うと、ひとりのためだけに型紙を起こす
「オーダースーツ」ならではの仕様、
ということもできます。
最近は付加価値をつけるため
あえて本切羽で作ってある既製品もありますが
それでいて袖丈があっていないと本末転倒ですよね。
ですので、本切羽でなおかつ
サイズのよく合ったスーツを着ていることは
「お、あの人スーツが好きなんだな」
と見てもらうツールの一つとも言えます。
あえて袖のボタンを開けて「はずし」の
着こなしをするもよし、
きちんと止めて「違いのわかる男」の
着こなしをするもよし。
細かいところですが、意外と見られているポイントです。
みなさまも、一度注意して見てみてください。
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