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ブログ2020.12.21
シャツのネームはどうあるべきか
【Tailor Fukuoka Aoyama Blog】
みなさま、こんにちは。
青山店の嶌野です。
さて、本日はシャツのネームのお話です。
ネームの位置、いろいろありますが
正統派のステッチ位置はどこだと思いますか?
みなさまイメージするのは
二の腕あたりの袖やカフスだと思います。
実際にオーダーを受けていても多いのは
カフス、袖、胸ポケット…といったところでしょうか。
昔ながらの正統派ステッチの位置、
実は意外にも「左脇腹」とされています。
今のスーツの形が完成した19世紀頃、
スーツを着るのは上流階級のたしなみであり
言わずもがな、全てのスーツ・シャツが
今で言う「フルオーダー」で作られたものでした。
さらに、当時のシャツは「下着」としての意味合いが大きく、
人にシャツ姿を見せることなどない時代でもありました。
そのため、シャツにネームを入れるのはお洒落でもなんでもなく
ただ、「洗濯屋に間違われない為」であり、
人には見えない箇所…ベストを着ると完全に隠れてしまう脇腹に
イニシャルを入れていたと言われています。
その後、既製服が一般的になり
オーダーのシャツが少数派になってくると
「お洒落として」「オーダーらしさを出すため」などの理由で
袖やカフスなど、ちらっと見えるところに入れるのが主流になりました。
そういうわけで、
正統派クラシックなネーム位置は脇腹です。
(今の時代は必ずしもベストを着用するわけではありませんので
脇腹より下、裾に近いところに入れる方が当時の考え方には近いかもしれません)
オーセンティックに脇腹に入れるもよし。
カフスや袖に入れて会話のさり気なく会話のきっかけをつくっておくもよし。
名前は別に入れなくても…という方は動物などの図案だけ刺繍することもできます。
(以前豊島も飼い猫のカラーで猫の刺繍をいれていました)
ちなみに、シャツのネーム刺繍の位置は普段、
「左袖・左カフス・左脇腹・ポケット」でご案内しておりますが
位置もカスタマイズ可能。
よく使う右手のカフスに刺繍したり、
テントウ虫が肩に止まったように刺繍をいれたり…
という注文も承ります。
意外と奥が深いシャツの刺繍。
「必要なもの」ではありませんがだからこそ面白いものです。