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2022.07.10

スーツの着丈について思う事。

【Tailor Fukuoka Ginza Blog】

 

皆様こんにちは。

テーラーフクオカ銀座店の木村です。

 

先日、虎の門のシューシャインバーに

行ってきました。

自分ではうまく磨けなかった

コードバンもプロに磨いてもらうと

やはり違いました

とても綺麗な鏡面になりました。

 

さて、本日はこちらのご紹介。

 

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皆様、スーツの着丈の長さは

どのくらいで作られますか。

 

 

前にもお話させていただいた事が

あるのですが、スーツの着丈は

しっかりとヒップが隠れる位の

長さが個人的にはお勧めです。

 

 

ヒップが隠れる位の長さをご提案する

理由はいくつかございますが

主としてその方がシルエットが

綺麗だからです。

 

お体にあったスーツというのは

ウエストのシェイプが

しっかりと入ります。

このシェイプを綺麗に見せる為には

着丈が短すぎてはいけないのです。

 

スーツのシルエットは

肩、バストをもって横に広げて

ウエストを絞って

またスソで広がっていき

最後に少し内側に入って終わる

Xのような形が理想です。

 

この時

重要なのはウエストの絞りではなく

実はスソの広がりなのです。

スソの広がりのないスーツは

実はシェイプが綺麗に出ません。

 

例えば。

 

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こちらの写真のスーツは

スソの広がりがしっかりあり

シェイプが綺麗に

出ていると思います。

 

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こう比べるといかがでしょうか。

 

こちらは、実際に着丈が短い訳ではなく

トルソーに対してサイズが若干大きい為に

生じている見た目の違いなのですが

スソの広がりがないとシェイプが

綺麗に出にくいイメージが分かると思います。

(あくまでイメージです)

 

要するにメリハリなのです。

ウエストからスソにかけて

自然に開いていくような強弱の付いた

形がある事でスーツは綺麗にシェイプがかかるのです。

着丈が短いと、スタイリッシュには

見えるかもしれませんがこのスソの広がりが

最後まで延びなくなる故に

理想のシェイプが出ないのです。

 

それと、もうひとつ。

このご時世では

綺麗な表現ではないのかもしれませんが

スーツというのは本来

男性のものなのです。

 

その昔、フロックコートや

テイルコート、モーニングなどの

フォーマルウエアは

全て着丈が長くてヒップは

しっかり隠れるように設計されています。

 

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フロックコートから派生をする時

乗馬の為に前を切り落としたが故に

誕生したのがモーニングと言われています。

ですが、この時

切り落とされたのは前の部分だけで

後ろは、長いままでした。

 

そして現在のスーツが

出来ていく中で洋服の裾は短く

切り落とされていきました。

ですが、この時

スーツの着丈はしっかりと

ヒップを隠すようになっていました。

 

この事には、その方が綺麗であるという

美的感覚と意識

そして、男性がヒップを見せてはいけないという

美的意識と感覚があったと私は思います。

 

(ちなみに、乗馬の際に後ろが長い方が

馬が安心する、純粋に体勢が安定する

などの諸説あります)

 

ある種、男性らしさを

強調するように出来ている洋服において

ヒップが覗いてしまうというのは

いささか、セクシー過ぎるのです。

 

もちろん、これはあくまで

基準であって絶対ではありません。

ご身長やご体型によっては

もっと短くする事もあります。

 

また、お作りするものがカジュアルな

ジャケットの場合やツーピーススーツの

場合には今ご説明した長さから

マイナス1、2cmする

ご提案をする事は私もあります。

 

お好みもあるところでございます。

 

ですが、やはりその位で

留めておくのを

私はおススメ致します。

 

 

 

 

銀座店 木村