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ブログ2022.01.31
本切羽は、外さない。
【Tailor Fukuoka Ginza Blog】
皆様こんにちは。
テーラーフクオカ銀座店の木村です。
先日、革靴をオーダーしてきました。
オーダーだからと言っても
私は変わったデザインは好みませんので
キャップトゥとセミブローグの黒を
作ってきました。
クラシックなスーツに合わせる予定です。
さて、本日はこちらのご紹介。
スーツの袖の部分、本切羽についてです。
ご存じの方も多いと思いますが
通常、ここは開き見せといって
閉じられている事が多いです。
一方で、ここが本当に開いている仕様
本切羽になっているものもあります。
今回はその起源や意味は置いといて
本切羽の時の袖釦は
外すのか否かについてお話していきます。
よく雑誌などでは、本切羽を
外してヌケを作って着こなす。
所謂、はずし的な着こなしを
ご紹介している事もあると思います。
敢えて、釦一つだけを外して
魅せるというような、あれです。
結論からお伝えすると
あのような着こなしを
私は、あまり良いものだとは
思いません。
というのも、個人的には
本切羽を外したからといって
カッコいいとは思わないからです。
理由はいくつかあるのですが
一番、感じるのは
釦が外せるからといって
わざわざ、釦を外すのは
いやらしい着こなしに思えます。
イメージとしては
ハイブランドのロゴが大きく書かれた
服を着ているような感覚です。
確かに自分は、良いものを着ているのだ
(今回の場合は良いスーツを着ているのだ)
というアピールにはなると思いますが
そのアピールはあまりエレガント
ではないと思います。
ジャケパンなどのカジュアルな装いであれば
それも良いのかもしれませんが
オーセンティックなスーツスタイルには
その主張は必要ないものです。
あくまで、落ち着いた静かな雰囲気が
スーツをよりカッコよく見せるのです。
では、何のために本切羽にするのか。
釦を外さなければ、本切羽にする
意味が無いのではないか。
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、私は自分のスーツはもちろん
お客様にも本切羽をおススメする事は多いです。
なぜなら、本切羽にしておくと
袖口が、釦ホールが、スーツが
綺麗に見えるからです。
こちらが、開き見せ仕様。
実際に開閉は出来なく
穴かがりだけが付いています。
分かりやすいように
ストライプのスーツで撮影をしていますので
ストライプが一直線に釦ホールを
貫通しているのが分かると思います。
こちらが、本切羽仕様。
釦ホールの所で柄が途切れているのが
分かると思います。
こちらの方が釦ホールに
立体感が生まれ綺麗に見えるはずです。
スーツというのは立体的に仕上がっている方が
綺麗というのは、良く聞く話だと思います
ベクトルの違いはありますが
こういう所でも立体感があると総合的に
スーツは綺麗に、カッコよく見えるのです。
私はこの立体感を重視します。
それ故に、本切羽を
おススメする事が多いのです。
そして、こちらを見て分かるように
本切羽は釦を外していなくても
本切羽になっている事は
分かると思います。
その上でわざわざ釦を外すのは
やりすぎではないかと思います。
ですので、私は本切羽は外さないという
スタンスをとっているのです。
銀座店 木村