Blog
ブログ2022.11.05
水牛ボタンの見分け方
【Tailor Fukuoka Aoyama Blog】
みなさま、こんにちは。
青山店の嶌野でございます。
本日は、過去の好評ブログ リバイバルシリーズ
「水牛ボタンについて」
プラスチックボタンとの見分け方や
水牛ボタンのメリットなどをお話させていただきます。
(すでにお読みの方はすみません!)
さて、この写真、水牛ボタンの中にプラスチックボタンが2つだけ混じっています。
画像なので分かりにくいですが…
・・・分かりましたでしょうか?
正解はこちら。
遠目でみると違いのわかりにくい本水牛とフェイクのプラスチックボタン。
見分けるための分かりやすい2つのポイントをご紹介します。
【見分けるポイント】
① 近くで見る・横から見る
本物の水牛ボタンはその名の通り、水牛のツノを削り出し作られます。
そのため、近くでみると質感に細かいムラが。
(左、中央:水牛ボタン 右:プラスチックボタン)
横から見たときの爪のような質感の筋も分かりやすいポイントです。
(左3つ:水牛ボタン 右端:プラスチックボタン)
プラスチック製のボタンは細かいムラなどのない、とても均質な仕上がりです。
つるんとしすぎていて、人工的な感じがしませんか?
本物の水牛ボタンにあるこの細かいムラが、水牛が「良いボタン」とされる
理由なのですが、そのメリットは後ほど!
②柄を見る
仕上ったスーツのボタンなどは柄で簡単に判別できるものもあります。
水牛に似せて作るフェイクボタンは、実はすべて同じ柄というボタンが一般的です。
数色の樹脂を混ぜたものを、金太郎アメのように切り出して成形するためにこのようなことが起こります。
(左:水牛ボタン 右:プラスチックボタン)
水牛ボタンの場合は天然ものですので、同じ柄は2つとしてありません。
全て違う柄のボタンがついているのがスーツに仕上ったときに
見た目の風格や味わい、奥深さになるのです。
【水牛ボタンのメリット】
昔とくらべ、加工技術が格段に上がった現代で
今なお、水牛ボタンが「良いボタン」と言われ愛好者が多いのか、
そこには3つ理由があると私は思います。
①滑りにくく機能的
水牛ボタンなど、天然素材のボタンは必ず細胞レベルのムラがあります。
研磨されてつるつるに感じる仕上がりでも
実は微細な凹凸が残っており、それがすべり止めの役割をすることで
指がかかりやすく、布が止まりやすいのです。
水牛をはじめとする天然素材のボタンが「良い」とされる大きな理由です。
②見た目の風格がある
水牛ボタンを選ぶ方が大切にしているポイントは
やはり見た目ではないでしょうか。
天然素材ならではの素材感がスーツ全体の
クラシックな重厚感や質の良さをよく表現してくれます。
③エイジングが楽しめる
水牛ボタンは上質な革製品のように
経年によって質感が変化して、より深みが増してくる
「育てる楽しみ」も大きな魅力。
エイジングについては別のブログにて詳しく紹介しておりますので
興味のある方は下のリンクからご覧ください。
蛇足ですが、実は木製のナットや貝ボタンなどは
天然素材と言っても、染色・漂白などの処理が行われており
質感や色味には人の手が加わっています。
天然のままのナチュラルな風合いは
水牛ボタンが一番楽しめる、というのも魅力を感じるポイントです。
【まとめ】
水牛ボタンのように
世界に同じものが2つとない、自分の手で育てるボタンというのはとても愛着が湧きやすく
長く愛用して頂きたいスーツには特段おすすめのボタンです。
スーツ生地よりボタンのほうが寿命が長いため、
愛用の古いスーツからボタンだけを新しいスーツにお付けすることも可能です。
ベーシックなスーツにこそ、良いボタンをお選びください。