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ブログ2022.01.02
理想のスーツのサイズとは。
【Tailor Fukuoka Ginza Blog】
皆様こんにちは。
テーラーフクオカ銀座店の木村です。
先日、2つマチのスリムなタイプの
黒のブリーフケースを
購入しました。
黒い鞄はダレスバッグが
あるのですが、やや重厚すぎるので
丁度、良いものが手に入りました。
さて、本日はこちらのご紹介。
スーツのサイズについてのお話です。
皆様はスーツを仕立てる際に
股上、股下の長さはどのようにされますか。
私は基本的にワンクッションから
ハーフクッションを基準とした
サイズをご提案させていただく事が
多いのですがお店、人によっては
ノークッション位で
ご提案する事もあると思います。
個人的な考えですが
スーツのサイズというのは
しっかりとした長さとゆとりを
持った方が良いと思っております。
昨今、クラシックなスタイルが
戻っているので昔程
極端なサイズ感のスーツは
見なくなりましたが
それでも、前時代の時流を汲んで
タイトで短いレングスのスーツを
着られている方もいらっしゃいます。
お好みもあるものではございますが
あのようなサイズは本来
スーツを、ご自身のスタイルを
悪く見せてしまうものなのです。
たとえ話。
股下を70cmで仕上げるのと
67cmで仕上げるのでは
足の長さが3cm短く見えます。
身長が3cm違えば印象は
ずいぶん変わるはずです。
故に、この3cmの違いは大きいのです。
股下を短くするというのは
足元だけに着目して
そこを、すっきり見せるには
良いですがロングショットで
見たときに私は美しいとは思いません。
裾口をタイトに作るのはどうか。
これもスタイルが悪く見えます。
なぜなら、裾口を細くすればするほど
足元のたわみが大きくなります。
過度なたわみは、カッコよくありませんので
たわみが出ないように股下を
短くする事になります。
すると、どうでしょう。
先ほどよりも、さらに足が短く見えます。
股上も同様です。
股上を23cmで仕上がるのと
26cmで仕上げるのでは
3cmも長さが変わります。
先ほどの股下と合わせて
6cmも足が短く見えるのです。
さらに、大きな違いです。
本来、スーツというのは
腰で履くのではなく
肩で吊るものであり
スラックスの位置というのは
腰ではなくウエストの上の
ヘソの辺りにくるものです。
股上の深いスラックスを
履いた時に股下は余るのではなく
その分を上に上げて履くものなのです。
それでは、ジャケットはどうでしょう。
実はジャケットの着丈にも同じ事が言えます。
ジャケットの着丈はヒップがしかっり
隠れる位の長さが必要です。
いやいや、先ほどの話からすると
ジャケットの着丈は短い方が
足が長く見えるのではないか。
実はそれはその通りなのです。
なのですが、冷静に考えてみて下さい。
足が長く見えるのと
スタイルが良く見えるのは
別の話なのです。
こういう時には極論で考えてみると
分かりやすくなるのですが
ヒップが完全に出ている長さで
ジャケットの着丈を設計すれば
間違いなく足は長く
見えるでしょうが果たしてその姿が
カッコいいものでしょうか。
これは極論ではありますが
ジャケットの着丈を短くしていく
というのはその姿に近づいていく
という事なのです。
ご想像していただければ
分かると思いますが
とても、とてもアンバランスなはずです。
スーツのサイズ、、、、
に限らず、洋服、ファッションというのは
バランスが大切です。
スーツを着る時に合わせる小物は
スーツに合わせて変えるはずです。
適当に合わせてしまえば
ちぐはぐなスタイルになってしまうから。
同様にスーツがとてもカッコよく
決まっていても靴や鞄の手入れが
しっかりされていなければ
そのスーツスタイルは
カッコよくはないでしょう。
ですので、ジャケットの着丈も
バランスが大切なのです。
きれいに見えるバランスとしては
ジャケットの着丈とそこから覗く
スラックスの長さが同じ位か
あるいは、少しだけスラックスの方が
長く見える位がバランスはきれいです。
これを基準とした上で
お好みやお身体のバランスによって
調整していくのが理想の
サイズだと私は思います。
ですので、しっかりと長さを確保した
スラックスに対してのジャケットの着丈は
そこまで短くなる事はないはずです。
股下や股上を長くしたり
ゆとりを持ったサイズは
野暮ったく見えるというのは
間違いなく勘違いです。
前時代の影響で見慣れていないだけで
決してそんなことはありません。
なにより、その姿がスーツ本来の
美しい形なのです。
そして、何度もお話している事では
ありますが、そういうサイズの
スーツというのは
いつ見てもカッコいいものです。
銀座店 木村