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ブログ2023.06.05
「服を着るのなら、今この瞬間から」
【Tailor Fukuoka Ginza Blog】
皆様こんにちは。
テーラーフクオカ銀座店の木村です。
先日、ボシュロムのヴィンテージの
眼鏡を購入しました。
この他に、レンズを入れていない
丸眼鏡やフィンチ眼鏡が
複数あるのでフレームを増やす前に
早くレンズを入れようと思います。
さて、本日はこちらのご紹介。
私は常日頃から
「似合わない色などない
似合わない、と思う人がいるだけ」
と考えお客様にもそうお伝えをしています。
似合う、似合わないなどの感覚、感想は
所詮、人の現象的理解にすぎません。
絶対的叡智ではないのです。
簡単に言うと似合う、似合わないなど
主観でしかありえなく
俯瞰にはなりえないという事です。
結論は同じ事なのですが
もう一つ、私が常日頃から考えている事に
「服を着るのなら、今この瞬間から」
というものがあります。
稀に、
「この色のスーツは、もう少し年を取ってから、、、」
「こういうスーツは、もっと年配の人が似あう、、、」
といったような言葉を
耳にする事があります。
さて、果たして本当にそうでしょうか。
否。
むしろ、年を取ってからの方が
似合う(と思う)ような服であるのならば
今、この瞬間から着るべきものであるはずです。
例えばですが
もし仮に、今の自分には
この服、このスーツ、この生地
はまだ早いので
もう少し、年を取って
似合うようになってから着る。
という風にお考えになられる際に
こんな妄想をしてみて下さい。
「このスーツは、もう少し年を
取ってからの方が似合う」
と話していた、次の瞬間
今の自分がタイムトラベルをして
50代、60代、70代になった。
さて、この時の自分は
どう見ても、先ほどまでの自分ではなく
撮影モデルを務める銀座店の
某店長のような風貌です。
果たして、この瞬間
先ほどまで
「このスーツは、もう少し年を
取ってからの方が似合う」
と思っていたスーツは
突然、似合うようになっていると
思いますでしょうか。
もっと生意気な言い方をするのであれば
この瞬間、自分で先ほどまで
「このスーツは、もう少し年を
取ってからの方が似合う」
と思っていたスーツを
突然、カッコよく着こなす
自信があるでしょうか。
、、、私は難しいと考えます。
ファッションというのは
(特にクラッシックファッションは)
ただコーディネートや見た目が
合っていれば似合うようなものではありません。
もちろん、私もまだまだです。
コーディネートや年齢的見た目の他に
そのファッションに対する
知識や経験、その中の自分なりの解釈や選択
それに寄り添った所作や姿勢
そういったものを経て溢れ出るもの、、、
これ即ち、雰囲気。
この雰囲気が大切なのです。
この雰囲気というのは
中々に厄介で、とても抽象的なくせに
この業界ではとても多用されるのです。
こんな、ほざきをしている
私のブログでも随分と使われています。
ですが、この厄介でご都合主義
その時々で意味が
変わっているような気もする
雰囲気があってこそ
ファッションというのは似合うものなのです。
つまり、年を取ったから
似合うものがあるという事はなく
(今よりも)似合う雰囲気が
出せるようになった時
人間は年を取っているのです。
決して、何の経験も解釈もしていないのに
ただ年を取っただけでは
何かが突然、似合うようになる
という事はないのです。
では、この雰囲気を出せる
あるいは、出てくるようになるには
どうしたら良いのか。
、、、それは
そのファッションを
着るしか事しかないでしょう。
どれだけ、雑誌、解説書で学ぼうとも
どれだけ、SNSのスナップを見ようとも
自分が着る事でしか
そのファッションが似合う
雰囲気は出てこないのです。
ですので
この色は、この生地は、この服は
好きだけど、、、
「今の自分には合わない」
「もう少し年を取ってから、、、」
という風に思われるのあれば
だからこそ
今この瞬間から着るべきなのです。
そうやって、今この瞬間から
着続ける事で
初めは似合わないと感じていたものも
段々と似合うと感じるように
なっていくのです。
そして、やはり私もまだまだです。
だからこそ、私は思います。
「服を着るのなら、今この瞬間から」
銀座店 木村