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ブログ2019.05.21
知る人ぞ知る「DOMINX」
【Tailor Fukuoka Ginza Blog】
みなさま、こんにちは。
銀座店の嶌野です。
本日はオススメのジャケット生地のご紹介。
こちらです。
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ウールをメインに、少しだけリネンをブレンドしております。
ざっくりした作りに麻の質感も しっかり生きているので夏らしいのですが
メインの素材はウールなのでシワになりにくい生地です。
そしてなにより、手織りのように柔らかく、
ヴィンテージ感のある雰囲気が個人的にはグッとくるポイントです。
こちら、「DOMINX」というシリーズの生地は
愛知県一宮市に工房を構える
「葛利毛織(くずりけおり)」が生産している服地。
葛利毛織は1912年の創業から現在に至るまで
国内トップクラスの上質な服地を生産している、
いわば「知る人ぞ知る」織元です。
こちらの工房では、
世界でもっとも遅い「ションヘル」という織機(しょっき)を使用しています。
ションヘルは産業革命の頃に開発され、
発明から100年以上経っているアンティークの織機です。
最新の織機が1日でスーツ30着以上の生地を生産できるのに対し
ションヘルは1日稼働してわずか3着分。
けして効率の良い機械ではありません。
最新の高速織機は目に見えない速さでタテ糸にヨコ糸を通して
織り上げていきます。早ければ早いほど生産速度は上がりますが、
一方で糸に無理な負担がかかるようになります。
ションヘル織機は目で追えるくらいの速さ
(それでも見ている分には十分速いですが)しか出せません。
その「効率の悪さ」ゆえに、高速織機には出せない、
柔らかくふくらみのある風合いが生まれます。
私も私物のスーツをこちらの生地で仕立てました。
強度のある生地ではないので、パンツの寿命は短そうですが
気に入っております。
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こちらの生地、もともと特別価格でお出ししているものですので
ジャケットフェアの対象外となっております。
お値引きはございませんが、価格以上の雰囲気のある掘り出し物だと思います。
ご検討のひとつにお考えいただければ幸いです。
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Tailor Fukuoka