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ブログ2024.11.21
「オックスフォードシャツ」を仕立てるなら・・・
【Tailor Fukuoka Kichijo-ji Blog】
皆さまこんにちは!
テーラーフクオカ吉祥寺店の斉藤です。
オーダーシャツをお作り頂くにあたり、
生地の候補として挙がりやすいのが、
オックスフォード生地。
オックスフォードクロスと呼ばれるその生地は、
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を
2~3本引き揃えて織られる平織りの生地で、
目の粗さやハリのあるドライタッチが特徴です
(和名では斜子織りと呼ばれております)。
昨今では100番手以上の糸(細い糸)を用いた
滑らかで艶やかな上質感のある生地も多く流通しており、
良いシャツ生地であることの一要素でありますが、
オックスフォードクロスは
20~40番手の糸(太い糸)を使用されることが多く、
“しなやかさ”とは対極にある生地となっております
(その中でも細番手の糸を用いた
ピンポイントオックスやロイヤルオックスと
呼ばれるドレス度が高まるモノもございます)。
歴史を紐解いていくと、19世紀末まで遡り、
オックスフォード生地の持つ堅牢性や通気性が
スポーツウェアとして優位に働き、
英国でさかんであったポロ競技を皮切りに、
様々なスポーツ競技のユニフォームとして
採用されていったことから日常着として浸透したようです。
(その後、アメリカでアイビーリーガー達が愛用し、
日本でいう“アメトラスタイル”には欠かせない
アイテムとなったことも大いに手伝っているようです)。
そしてオックスフォードの生地を語るのに
外せないのが、「ボタンダウン」という衿型。
この衿型を浸透させたパイオニア的ブランドの
ブルックスブラザーズでは、
“ポロカラー”と名付けられるほど、
ポロ競技との親和性が高いことは有名な話で、
オックスフォード生地と共にある衿型と
言っても過言ではないでしょう。
これらの出自を鑑みまして、
ボタンダウンもオックスフォード生地も
艶やかにタイドアップをする場合や、
フォーマル度の高い装いを求められるシーンには
あまりそぐわないとされています
(自分が良ければいいという考え方もありますが、
“その場にふさわしい装い=周囲への敬意”と
捉えられますため、細やかな気遣いに欠ける人という印象を
与えかねないので、あまりおすすめはしません)。
話は少々それましたが、
ここまでの話を踏まえますと、
オックスフォード生地でシャツを仕立てるのであれば、
ボタンダウンの衿型をおすすめしたいですし、
ボタンダウンシャツを仕立てるのであれば、
オックスフォード生地をおすすめしたい。
街中の既製品でもよく見かける
組み合わせではあるのですが、
誕生から100年以上の歴史を経て、アイビールックという
ファッションムーブメントの渦中でも存在感を放ち、
未だにそのかけ合わせが残っているということは、
“時の試練”を耐え抜いた逸品である証拠です。
一説では、「オックスフォードシャツ」と定義する
要素として、“衿型がボタンダウンであること”が
あげられるという見方もあるようです。
(ボタンダウンでない衿型の場合は、
「オックスフォード生地のシャツ」
ということですね)
しかしながらオーダーメイドの特性上、
生地とデザインのかけ合わせは自由ですし、
既製品では叶わないソレを実現するために
オーダーメイドという選択をしているという思考も
至極当然で、間違いありません。
ただ、定番アイテムを手に入れる際には、
時の試練に耐え抜いてきた要素からは逸脱せず、
ある程度引かれたレールの上を走ることで
正解へと導かれるケースが多いように思います
(それがストレスのないマイサイズで
手に入るのであれば、オーダーをする意味の
ひとつになると思います)。
大事なことなので2回言います(2回以上言ってる?)。
「オックスフォードシャツ」
を仕立てたいのであれば、
衿型はボタンダウンです。
斉藤