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2024.07.28

キャメルカラーではありません。キャメルヘアーです。

【Tailor Fukuoka Ginza Blog】

 

皆様こんにちは。

テーラーフクオカ銀座店の木村です。

 

先日、ずっと温めていた

とある品をオーダーしました。

正直、結構な金額でしたが

不安や後悔はなく

小説を読み終えた後の

ある種の爽快感のようなものを

感じています。

 

仕上がりは11月頃の予定

非常に楽しみです。

 

さて、本日はこちらの紹介。

 

 

【Fabric】:47-264F

 

【Order Coat】

Single  Coat ¥90,000+tax(¥99,000)

Double  Coat ¥100,000+tax(¥110,000)

※Option料金は別。

 

もしかすると皆様のお手元にDMが

既に届いているかもしれませんが

随分な物が入荷してきました。

 

 

本キャメルヘアーの

コート生地です

目付は450g/m。

 

なーんだ。

よく見るコートの生地じゃないかと

思われる方もいるかもしれません。

 

ですが、現在一般で言うキャメルとは

キャメルカラー、、、つまり

染色によって表現された

ベージュ色の生地を指す事が多いですが

こちらはそういう意味でのキャメルではありません。

 

 

こちらはキャメルヘアー、、、つまり

本物のラクダ毛から作られた生地なのです。

 

 

実際に既製品のコートを探してみると

分かると思いますが

本キャメルで作られたコートは

最近はほとんど見かけないです。

 

良い質感だなと思っても

素材はカシミアやウール

あるいはその混紡品をキャメルカラーに

染色しているものが殆どです。

 

ここで、豆知識として

キャメルヘアーについての

説明を挟んでみようかと思います。

 

キャメルヘアーとは

先程、ご説明をした通りラクダの毛の事です。

 

ラクダと言っても主に2種類存在しており

ヒトコブラクダとフタコブラクダが存在します。

 

 

こちらがヒトコブラクダ。

 

 

こちらがフタコブラクダです。

 

結構見た目が違いますよね。

 

このうちキャメルヘアーとして利用されるのは

フタコブラクダの方です。

(ヒトコブラクダの毛は短く荒いので

織物には向きません)

 
 
原毛は淡黄色から褐色をしており
(つまりキャメルカラー)
漂白が困難なため染色することなく
多くはそのまま使われるか
黒や濃紺などの
強い色で元のキャメルカラーが
出ないような染色をします。
 
なので、キャメルヘアーの生地には
あまりカラーバリエーションが
多くありません。
 
カシミアと同じように
表面の毛ではなくて
その下に生えているうぶ毛を
集めて生地にしていくので
生産量はウールの0.1%程であり
希少性の高い繊維です。
 
繊維には細かい穴があいてあり
吸湿性、保温性もかなり高いです。
(ちなみに、同じラクダ科のアルパカは
繊維の中が空洞になっています)
 
キャメルヘアーはカシミア程の
軽さや柔らかさはありませんが
ウールよりも随分と柔らかく
しっかりとハリのありつつ
自然な美しい光沢が魅力です。
 
 
また、ポロの競技者が好んで
着用したことから観戦者にも広がっていき
1950年代のアメリカでは
アイヴィー・リガ―(IVY Leaguer)の
間で流行った事で
現在ではポロコート=キャメルヘアー
と連想される方も多いと思います。
 

 

これほどの生地が

10万以下で、しかもオーダーで

お作り出来るのですから

私が販売する側の人間である事を

無視しても本当に信じられない価格です。

 

もちろん、この価格には

しっかりとした理由がございます。

 

とてもシンプルな事です。

 

それはいつもお作りいただく

皆様のおかげで私達Tailor Fukuokaは

今年70周年の節目を迎える事が出来た。

 

その感謝なのです。

 

ほんとにありがとうございます。

 

70周年記念の限定品です。

ぜひ、生地をご覧になられるだけでも

構いませんので

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

※こちらの生地は8月1日から

受注開始になります。

 

 

 

銀座店 木村

 

私の洋服に関する考え方は下記に

書いてあります。

 

私がオススメしない理由と、、、

私がクラシック、オーセンティックを薦める理由。

自分と自信を持つことの大切さ。

「服を着るのなら、今この瞬間から」

スーツの着丈について思う事。

スーツのクリースについて思う事。

最近のスーツは太くない。

股上と股下が変わると見た目は、こう変わる。

本切羽は、外さない。

理想のスーツのサイズとは。

靴下の長さと色と柄について思う事

似合わない色とは何か。