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2024.12.10

伝統的なブレザーを1着。

 

【Tailor Fukuoka Ginza Blog】

 

 

皆様こんにちは、銀座店の横尾です。

中々寒さが厳しくなってきて、

ようやくコートが活躍する気温ですね。

皆様も体調にはお気を付け下さい。

 

さて、最近はブレザーのご注文を

いただく事が多くなってきました。

(あくまで私の感覚ですが)

 

そこでブレザーを仕立てるにあたって、

どのような仕様があるのか僭越ながら

ご説明させていただきます。

 

 

まず始めに、ブレザーは元より英国の学生たちが

起源です。20世紀になると米国へ渡り、現在の

アメリカントラディショナルスタイル創建の

立役者となりました。

(軍服が起源であるとの説もありますが長くなって

しまうので割愛いたします。)

 

 

 

今回は横尾私物のブレザーを用いて

ディテール等おススメを解説していきます。

(着用のシワはご愛嬌でお願いいたします…)

 

写真にもあります私のブレザーは

アメトラへの憧れもあった事から

米テイストでオーセンティックに

作成しました。

詳細はこちら。

 

まず、フロント釦は3つ釦段返り

これが王道のスタイルです。

 

トラディショナルなブレザーは

「1着につきボタンは5つ」

というルールがあります。

 

 

 

フロントボタンが3つの場合は

袖釦は2つ。

フロントボタンが2つの場合は

袖釦は3つとなります。

従って、私の場合は必然的に

袖釦は2つとなります。

 

また、フロントのポケットは

胸も含めて3パッチのポケット。

腰ポケットもフタ付が好ましいでしょう。

 

只、胸ポケットに関してはチーフを差したい方は

通常のバルカポケットもよろしいと思います。

 

尚、今回はアメトラスタイルのブレザーに

スポットを置いてご説明しておりますが、

英国調のブレザー等はパッチポケットよりかは

通常の水平フタ付が多いように感じますね。

 

 

 

 

ベントはお決まりともいえる

フックベントです。

ブレザー自体、ボックスシルエットで

仕立ててあげるのがセオリーでも

ありますのでサイドベンツよりかは

センターベントの方がシルエットの

収まりが良いです。

 

 

 

続いてはステッチです。

 

通常スーツやジャケットを

お仕立て頂く際はAMFステッチを

お勧めしますが、トラッドなブレザーを

お仕立て頂くのであれば、

ステッチは「7mmミシンステッチ」と

相場が決まっています。

(端っこから7mm内側の位置にステッチを

施しますので端に入れるよりもカジュアルな

仕上がりになります。)

 

また、ミシンステッチですので

厚手のサージやフランネルでお仕立て頂いても

問題なくステッチが通ります。

ツイードやコーデュロイをお仕立て頂く方にも

同様にお勧めしております。

 

 

個人的にミシンステッチの工業感というか

良い意味での野暮ったさが好みでして

ジャケットを仕立てるとついつい

選んでしまうディテールです。

 

 

 

最後はボタンですね。

ブレザーと言ったら皆様も思い浮かべるでしょう

メタルボタンです。

 

Tailor Fukuokaでも様々な種類のメタル釦を

ご用意しておりますが、メタルはビンテージで

表情の良いものが多いのでボタンのみ

お持ち込み頂く事も結構多いです。

 

私はというと、完全に無地です。

装飾を施したものをつけようとウキウキで

選んでいたのですが、より長く着用して

行きたいという想いと、コーディネートの

親和性を求めた結果無地の金釦になりました。

 

最初は地味すぎたかな、など思いましたが

今となっては大成功でした。

 

ブレザーには専らレジメンタルタイを

合わせることが多いのですが、

色の強いタイを合わせても釦が上手く

馴染んでくれます。

 

釦にお迷いの方には是非お勧めしたいですね。

 

 

 

こんなところでしょうか。

私のブレザーはボックスシルエットを

強調する為にフロントダーツも排していますが

ここは正直お好みで良いと思います。

コテコテにトラッドに作りたい方は

是非是非お試しあれ、という感じです。

 

 

色々書かせてもらいましたが、

こういった知識なども私自身全て先輩方

から教わってきたものです。

 

1着のブレザーを仕立てるにあたって

色々な方からアドバイスや蘊蓄を

いただいてきました。

このようにしてブレザーの伝統は

受け継がれていくのか、とこのブログを

記している最中に思ったものです。

 

勿論ブレザーは今言ったとおりに仕立てなきゃダメ!

という事は一切ございません。

サイドベンツでもAMFステッチでも

格好いいですし、合わせるネクタイだって

好きなものを合わせて下さい。

 

ただ、今回記したような

アメリカントラディショナルのスタイルがある

という事を頭の片隅にでも置いておいてください。

流行り廃りのない伝統的なスタイルです。

 

そして、このブログを通して少しでも

気になったという方は是非是非

お気軽にご相談ください。

 

伝統的なスタイルでお仕立て頂く1着。

満足度の高いモノになる事間違いないです。

 

長文にお付き合いいただき

ありがとうございました。

 

銀座店 横尾