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ブログ2025.01.09
コートの着丈の正解はどこか?
【Tailor Fukuoka Ginza Blog】
皆様こんにちは。
テーラーフクオカ銀座店の木村です。
先日、久しぶりに靴を磨きました。
流石に足数も多いので1日かかりましたが
1足、1足状態を確認する事で
そろそろ、これは修理をするかなー
とか最初に比べると随分と
革が柔らかくなったなーとか
考える事も出来て
有意義な一日でした。
さて、本日はこちらの紹介。
コートの着丈はどの位が正解でしょうか。
昨今、クラシックという言葉遊びが
流行っている事もあり
ひと昔前に比べると
やや着丈は長くなってきましたが
それでも既製品や街中で見かける
コートはその大半が膝上丈
あるいは、太もも位の長さのものも
多い印象です。
これは私の一個人の意見ですが
私はコート丈は膝下丈以上が正解だと
断言します。
元々、チェスターフィールドコートに
限らずフォーマルな装いというのは
フロックコートを始め
テイルコート、モーニングコートも
着丈が長いものが正式であり
元々は膝丈位が一般な長さでした。
アルスターコートについても
元々は貴族の旅行用のコートであり
防寒の為にも厚手の生地で
着丈も長く作られていました。
という感じで歴史的な話からも
コートの着丈は短くてはいけませんし
もっと純粋な理由として
着丈の短いコートでは
どうしても子供っぽい印象で
エレガントな雰囲気は
出ないというのもあります。
スーツでもそうですが
着丈を短くしてしまえば
クラッシクファッションの
カッコ良さは表現出来ません。
この辺りは下記でも触れています。
私がクラシック、オーセンティックを薦める理由。
スーツの着丈について思う事。
理想のスーツのサイズとは。
これが、ナイロンやポリエステルで
作られたような薄手のレインコートや
初めから短い着丈として設計されている
Pコートであればまだしも
クラシックであり正式なコートを
着るのであればちゃんと着るべきです。
チェスターフィールドコートであれ
アルスターコートであれ
正式なコートであれば中途半端な
サイズ、着こなしをしてしまえば
みっともなく見えてしまいます。
もしかすると、初めは
膝下丈のコートを着ると
何らかの違和感を覚える事も
あるかもしれません。
が、しかしそれは
その長さがおかしいのでなければ
自分に似合っていない訳でもなく
ただ、その着丈に
見慣れていないだけなのです。
既成品では一度に
数百着という単位で
コートを作ります。
その際に着丈の長さが
30cm短ければ
最終的にかかる生地代は
とても抑えられる訳です。
その上、ジャケットであれば
着丈を30cm短くして販売する事は
流石に難しいですが
コートであれば不思議な事に
ショートコートや
ハーフコートと謳うなり
最近のトレンドは短めですと
説明する事で着丈の短いコートを
販売する事が出来るのです。
更には、コートとして販売する以上は
ジャケットよりも高単価にも出来るのです。
上記は、一部のオーダーにも
言える事でもありますが
何にせよ、人はそうやって
本来、コートのあるべき姿ではない
短めのコートが巷であふれる事で
無意識下にその長さのコートに
見慣れてしまい、標準化してしまうのです。
がしかし、それは決して
正解などではないのです。
この辺りは下記でも触れています。
似合わない色とは何か。
「服を着るのなら、今この瞬間から」
機能性あふれるこの時代に
ふわふわのダウンではなくて
折角、しっかりとしたコートを
着てみようと思って頂ける紳士には
ぜひ、しっかりとした着丈の
コートを着て欲しいというのが私の願いです。
銀座店 木村