Blog
ブログ2025.04.18
ファッションを通して私が考えている事。
【Tailor Fukuoka Ginza Blog】
皆様こんにちは。
テーラーフクオカ銀座店の木村です。
先日、後輩が新しい靴を買っていました。
チャーチのシングルモンクで
色はバーガンディでした。
悔しいですが
とてもカッコよかったです。
さて、本日はこちらの紹介。
さてと。
今年も麻のシャツを作りました。
(中央のものはコットンのオックスフォードです)
実際に着用するとこんな感じ。
淡いシャーベットイエローですが
合わせてみると派手な感じはしないと思います。
ちなみに、カフリンクスは
ヴィンテージのシェルを使った釦風。
カフリンクスは色々ありますが
これが一番気に入っています。
デザイン、サイズについては
いつも通りで変えていません。
シャツの衿型というのは
あれこれと作るのは最初だけで
自分のスタイル、好みを見つけたら
基本的にそこから変えずに同じ衿型を
選ぶのが正しいと私は思っています。
これは私の経験則ではありますが
私がこの仕事を始めた頃は
そこまで深く考える事はしていなく
何となく気に入った生地で
デザインでサイズで作っていました。
それこそサイズなんかは
少し細めにしたり、丈を短くしたりする事もあり
(勿論、極端ではなかったですが)
ファッションには
様々なスタイルがあるのだから
こういうスタイル(タイトや短いもの)も
クラシックなスタイルも
それぞれ気分や時流によって
着分ければ良いだろう
また、着分ける事が
出来るだろうと思っていました。
しかし、現在はどうか。
私はかつて、至りに任せて
作ったスーツやシャツは着る気が起きません。
不思議なもので自分がしっかりと
芯を持って選んだ物以外は
着なくなるのであり
そしてそれは、決してそう遠くない
未来で来るものです。
何事も自分自芯から選択したものが
結局の所、1番長く着る事になり
その為には、自分自身を
しっかりと考える事が必須なのです。
スーツもそういう性質がありますが
洋服というのは
外装という意味での服以上に
自分の世界(価値)を慎ましやかに
表現するものであり
名刺のようなものでもあるのです。
もし仮に毎月、毎月会うたびに
会社が変わり渡される名刺の
変わる人がいれば、どうでしょうか。
この人は自分の芯がない
あるいは、それで構わないと
思っている人なのだろうと
思われてしまうのでないでしょうか。
勿論、それで良いという人もいるのでしょう。
ただ、私はそうは思えません。
人間はペーパーナイフでは決してなく
81億の人間はそれぞれの
違う現実存在だと私は捉えます。
これも何度もお伝えしていますが
私が言いたいのは
無理に個性を出すべきであるとか
そういう事ではないのです。
人と違うべきであるとか
そういう事ではないのです。
絶対にこれが正解であるだとか
そういう事ではないのです。
確かな芯を持って絶対に
ぶれないべきであるとか
そういう事でもないのです。
ただ、究極的にそれについて
考え続ける事
これこそが、唯一自分がある条件であり
その結果を突き詰めるべきだと
私は考えるという事なのです。
満足する人間であるより
不満足な自分であるべきだと
私は思うのです。
ですから、せめてこの文章を読んで頂いた
皆様にはシャツの衿型だけではなく
スーツのサイズやデザイン
小物や着こなしに至るまで
洋服を通して自分について
考え続けて欲しいと切に願っています。
銀座店 木村